ジビエって??

ジビエって??

そもそもジビエとは?

ジビエとは、フランス語で「家畜ではない動物の肉」のことで、貴族の食文化として発展してきたという歴史があります。
我が国においては、「ジビエ」という言葉が輸入されるよりもっと以前の、仏教の影響で肉食が一般化していない時期においても、貴重なたんぱく源として猪や鹿、野兎が食されてきました。

たとえば、猪肉や鹿肉には別名があります(猪=牡丹、鹿=もみじなど)し、また、兎は数え方が特殊で、食べることができる鳥類に用いる「羽」で数えられます。

これらの文化的な側面から、家畜が一般化する以前に、私たちの先人たちは当たり前のように猪や鹿を食べていたことが窺えます。

 

当時流好諸喰商人尽(作者不詳) 1868年頃
「山くじら」も猪の別称。その文字の背景には牡丹の花。

 

野生動物による負の影

ところが近年、私たちにとって意外に身近な存在だった猪や鹿たちによる農業被害が問題になっています。南あわじ市の基幹産業は、特産品である玉ねぎや稲作を軸とする農業ですが、南あわじ市における猪や鹿などによる農業被害額は、令和元年度で1,008万円にものぼっています(南あわじ地域世界・日本農業遺産推進協議会調べ)。

猪や鹿が玉ねぎを直接むしゃむしゃと食べるわけではありませんが、南あわじの栄養たっぷりの田んぼや畑に住むミミズなどを求めて畑を掘り返してしまうことが問題となっています。また、鹿にいたっては、これまた南あわじの特産品である柑橘類の果樹の根っこを齧ってしまい、果樹を枯らすこともあるそう。その影響で、果樹園の経営を諦める農家さんが増えてきてしまっています。

 

これほどまでに野生動物による農業被害が拡大した理由は様々ありますが、一説には、農業人口の減少により、野生動物と人間の生活エリアを緩やかに隔てていた「里山」が荒廃し、野生動物が人間の生活エリアに直接的に現れやすくなっていることが考えらます。また、高齢化に伴う狩猟人材の不足や、直近数十年の「動物愛護」意識の高まりによる野生動物の駆除頭数の減少を指摘する人もいるようです。

淡路島の猪がどこからやってきたのかは分かっていませんが、徳島から泳いでやってきたという説もあります。意外にも猪は泳ぎが得意で、平気で30kmぐらいは泳いでしまうそうです。英語では「good swimmer」の異名もあるのだとか。徳島県と淡路島の最短直線距離は約1.5kmですから、余裕で泳ぎ切れてしまいますね。とはいえ、鳴門の渦潮に巻き込まれた猪も相当数いたような気がしますが…

 

自分なりに考えた結果

そういった背景を様々な方から伺い、自分なりに何かできないかと考えて開発したのが、島の猪旨辛アヒージョ島の猪お手軽ラグーソースです。淡路島の猪は、豊富なドングリを食べて育つため、風味がとても良いという特徴があります。要はイベリコ豚と同じように育っているのです。そんな上質な猪が、駆除されるだけで有効に活用されないのは、余りにも勿体無い!それが一番の動機でした。

 

もちろん、私が商品開発する前にも、精肉としては既にレストランなどに出荷されていました。ですので、既に流通している精肉に加えて、より多くの方に手軽に上質なジビエを届けるために加工品の商品開発を考えたのです。

結果的に、旨辛アヒージョは国内でも珍しい「常温流通可能なジビエのホルモン商品」、お手軽ラグーソースは「安定供給しやすいミンチ肉」と差別化でき、それぞれの特徴を活かした商品として開発することができました。これらの商品を多くの方にお届けして、結果的にジビエ商品の価値向上・狩猟人口の増加にまで繋げられれば、と考えています。

 

 

ところで、猪と豚肉の栄養を比較したとき、猪の方が圧倒的に優っている栄養素が二つあります。それは「ビタミンB12」「鉄分」です。

 

 

ビタミンB12は豚の3.4倍、鉄分はなんと豚の4.3倍も含まれています。ビタミンB12や鉄分は疲労回復に効果があるとされており、猪は現代人にとっても嬉しい食材と言えるのかもしれません。

 

そんなわけで、最近疲れが取れない…なんて感じる方は、ぜひ猪を試してみてください。ちなみに江戸時代、猪をはじめとする野生動物を食べることは「薬喰い」とも称されていたそうです。それだけ薬効があることの証左、ともいえるかもしれません。疲れた時にジビエを食べることは、意外にも江戸の知恵でもあったのです。